昨今,「経歴詐称」が話題になることが少なくありません。
ただ,一言に「経歴詐称」と言っても,「実績を少し盛る」というレベルから「在籍してた会社や職務内容まですべて嘘」というレベルまで千差万別です。
そこで,今回は,人材紹介会社を利用する際に「経歴詐称はバレるのか」,「どこまでならバレないのか?」について書いていきます。
目次
経歴詐称の種類
はじめにも記載しましたが,「経歴詐称」といっても,幅はかなり広くなります。
ざっと思いつくのは以下のものです。
- 実績を盛ってしまう(未達の目標を達成していたなど)
- 年齢の詐称(若く記載しているなど)
- 学歴の詐称(大卒,またはレベルの高い学校名を記載するなど)
- 学歴・在籍会社・職務内容すべてが違う
見た限り,「これくらいならあり得るかもしれない」というところから,「これは完全に他人だろ(笑)」というものまで,さまざまなものがあります。
まず,大前提として,「詐称」自体がアウトなので,やってはいけません。
ただ,みなさんも「どこまでバレるの?」というのは気になると思います。
そこで,完全アウトとギリギリグレーを記載していきます。
完全アウト
- 年齢の詐称(若く記載しているなど)
- 学歴の詐称(大卒,またはレベルの高い学校名を記載するなど)
- 学歴・在籍会社・職務内容すべてが違う
この3つは完全にアウトです。
年齢については「1, 2年なら差はなくない?」と感じる方もいると思いますが,履歴書に記載する内容をほぼ変更しないと辻褄が合わなくなりますし,29歳か31歳かでも採用はだいぶ変わってきます。
年齢をサバ読むだけで選考時に嘘をつく量が膨大になるので,やめましょう。
学歴詐称や会社名や職務経歴の詐称は言わずもがなです。これらは採用後に発覚しても解雇事由になります。ただ,ここまで嘘を記載する若手はあまりおらず,35歳を超えたあたりから急増します(笑)。
ギリギリグレー
- 実績を盛ってしまう(未達の目標を達成していたなど)
何度も記載しますが,経歴詐称は,大前提として「アウト」です。
それでもグレーなのは,「微増ならバレ辛く,採用後の企業への影響も個人への影響もまだ少ない」というのが理由だからです。
具体的にどの程度なら良いかというと,「達成率85%を100%」などそのレベルです。
もちろん例外はありますが,この程度であれば,面接の会話でもバレづらいでしょう(←やってはいけません)。取り組んでいる業務内容などを聞いても,面接の場で明らかにできる範囲が,この達成率だと大差がなく,実際に一緒に働かないとわからない範囲です。
ただ,この場合,期待値が高く採用されるので,次の職場では前職よりかなり努力しないといけなくなるので,その覚悟をもつ必要があります。
番外編:「詐称」ではないけれど,人材紹介会社が出会う切ないポジション名
- インサイドセールス
- Webライター
- フィードセールス
- 企画
- コンサルタント
「あれ,普通にあるポジションでしょ?」と思う方多いと思います。
たしかにこれらの職種の方は実際にいますし,ちゃんと転職市場で評価されるポジションをまっとうしていれば問題ありません。
ここで何を言いたいのかというと,「世間の評価と違うのにも関わらず,採用だけを考えたポジション名を”流行りの価値ある職種だ!”と信じてやまない方々」が多いということです。
「インサイドセールス」と言っているのに,「何の行動分析やマーケティングとのつながりもなく,テレアポをしてるだけ」という人も多いです。
また,Webライターも同じです。たしかにWeb上で文字を書く業務ならその仕事になります。ただ,企画・構成もせず,単に「文字を打ち込む」だけの方が名乗っていることも少なくありません。
他の例の職種も同じで,「嘘ではないがその職種とは認めづらいもの」も世の中には多いので,活躍していたとしても,井の中の蛙にならず,自分の仕事を見つめ直すのが良いでしょう。
自信を持ったまま人材紹介会社(就職/転職エージェント)を利用したけれど,その「職種になれなかった」という言葉を,今まで何人もの方から聞いてきました。
経歴詐称をしたAさん場合
話が逸れてしまいましたが,ここで実例を紹介していきます。
私が過去に担当した方でも「経歴詐称」はありました。その方(ここでは「Aさん」とします)の就職活動や,経歴詐称がどのように発覚していったかを記載していきます。
「Aさん」の就職活動
Aさんは,大手のシステム会社でSE(システムエンジニア)として勤務しており,大規模なシステム開発を行っていました。転職活動では,「現状の会社ほど規模が大きいものではなく,toC向けのアプリ開発などをしている企業に転職をしたい」ということでご相談に来られました。
最初は,「よくある」と言っては失礼ですが,「大手企業あるあるの不満」などの話題もあり,一般的な第二新卒の転職希望者だなと思いました。
ただ,正直なところ,いきなり本人が希望するような会社に入れるスキルレベルはお持ちではなかったので,1回目の面談では方向性だけを示し,求人は紹介せずに終わることにしました。
どうして「経歴詐称」がわかったのか
2回目の面談時,率直に疑問点を伺ったのが,「経歴詐称」が発覚したきっかけです。
どういうことかというと,現職の業務内容を考えると,どう考えても「大手SIerの2年目の人」がやる業務範囲ではなかったのです。
大手SIerだと,モノづくりメインより,プロジェクトマネジメントが主流となります。ただ,Aさんの話を聞いていると,それよりも下請けに近い業務をやっているような感じでした。
- 大手SIer:プロジェクトマネジメントなど
- 下請けSIer:手を動かす仕事が中心
初回時から疑問に感じることはありましたが,当時「経歴詐称」をする人に出会ったことがなかったので,「こういう仕事もあるのかな!?」と思いながら聞いておりましたが,2回目の面談でも疑問が晴れなかったので,率直に伺いました。
最初は,Aさんは認めてくれませんでしたが,いろいろ話すうちに認めてくれました。
Aさんは,大手Sier勤務ではなく,その下請け会社でSIerとして常駐している方だったのです。
どのような対応をとったか
Aさんの場合,サポートはまだ可能でした。
不幸中の幸いとして,「会社名以外の内容は全て真実」であったからです。
Aさんに経歴詐称をしてしまった理由を聞くと,「大手出身者だと希望が叶いやすいと思った」とのことでしたが,転職時に大事なのは「職務経歴書の具体的な業務内容とスキル」です。
Aさんは職務経歴書がまったくの嘘ではなかったので,まだ企業にも紹介前というもともあり,経歴を正しく直してもらいサポートすることができました。
若手の方に多い勘違いとして,新卒採用時の学歴のように「大手出身だから採用で有利になる」というのがありますが,中途採用はあくまで即戦力採用です。
あくまで「職務経歴」が大事なので,間違った認識を持たないようにしましょう。
経歴に自信がない方はどのように就職活動をすれば良いのか
ここまで読んだ方の中でも,「自分の経歴に自信が持てない」という方もいるでしょう。
ひとつ言えるのは,「嘘をつかず正直に話した方が楽に進む」ということです。
よく言われることですが,嘘をつくのは簡単でも,嘘をつき続けるのは大変です。そして,その中で信頼関係も失います。人材紹介会社の担当エージェントも,一度でも嘘をつかれると「嘘をついた人」という目でその人を見ることになってしまい,企業への紹介がしづらくなります。
また,万一,嘘をつき通せたとしても,入社後にパフォーマンスを継続するのも難しいでしょう。
それでも,「どうしてもこの会社にいきたい!」「人からよく思われたい!」などの理由がある場合は,正直に伝えてください。僕たち人材紹介会社の人間は,そこを目指す手段は提示できます。結局はそれがいちばんの近道だったりするので,正直に伝えるようにしましょう。
僕たちエージェントは,「経歴に自信がない」とか,「過去こういうことをしてしまった」とか,その手の話しは,毎日のように聞いています。なので,「え,この人さすがにないな…」と引いてしまうことはなく,普通にお話を聞けます。正直,めちゃくちゃ合っているので気にならないのです。
なので,素直に話してくれれば,それに合わせた提案ができます。。誰にも話せないというより,親しい人間ほど,話しにくいことだと思うので,そんなときほど,良い距離感で他人である僕らエージェントの方がフラットに相談に乗れると思っています。
まとめ
今回は「経歴詐称」について書いてきました。
「経歴詐称」をすることは,自分がいちばん苦しいはずですし,昨今のリファレンスチェック(書類に書かれている内容が事実と合っているか確認すること)の流れもより加速していきます。
ネットなどの過去情報や軽い発言から経歴詐称がバレて大きな問題になるより,理解して受け入れてもらうのが良いのは間違いないので,エージェントには正直に伝えるようにしましょう。