転職活動を行う上の重要なポイントとして「年収」があげられます。転職支援をしていると,「〇〇手当がほしい」や「賞与は必ずほしい」など,年収を見るときにみなさんが重視しているところがいろいろあるのがわかります。ただ,年収について勘違いをしていたり,一見良さそうに見える条件でも損をしてしまう可能性のものもあります。そこで,今回は年収について解説したいと思います。
年収で重要視するのは「手当て」より「基本給」
基本給とは,残業代や通勤手当,役職手当などの諸手当を含まない基本となる給料のことをいいます。つまり,基本給は「軸」になる基準の給与です。
基本給を重視した方が良いというのは,「賞与」が出る会社では大きく影響するからです。また,残業代や退職を考えても,基本給は重視した方が良いでしょう。以下,例をあげます。
基本給が少ないと賞与や残業代が少なくなる!?
賞与とは,定期的な給与とは別に支給されるものです(「ボーナス」と同義と思ってよいでしょう)。賞与の支給は法律によって義務付けられているものではないので,会社の方針によって,支給の有無,算定方法は異なります。
ただ,賞与規定のある会社では,基本給を基準に算定する場合が多いです。「給与の◯か月分」などと表現されていると額面給与で考えがちですが,このときの給与は基本給であると考えましょう。
つまり,手取り額が同じだったとしても,基本給に差があれば賞与にも差が出ることになります。たとえば,賞与が基本給の3か月分の会社では,手取り額が同じでも基本給が20万円と18万円(プラス2万円の諸手当)の人では,賞与額は60万円と54万円で,6万円の差が生まれるのです。
残業代も基本的に手当は換算されず,基本給を基準に計算するので,重要な要素といえるでしょう。
退職金も基本給から換算されるの?
退職金も賞与と同様,必ず支給するものと義務付けられてはいません。会社によって支給の有無はもちろん,支給金額や退職金制度設計は異なります。退職金を基本給と連動させる場合,退職時の基本給や勤続中の平均基本給に,勤続年数別の支給率を乗じて計算する方法が採られることが多いようです。つまり,額面給与が高くても基本給が低ければ,退職金の額が低くなってしまうということです。
ただし,基本給と連動させる算定方法だと,退職金の支給額がどんどん高くなって会社の経営を圧迫することがあります。そのため,在籍年数に応じてあらかじめ退職金額を決めておく方式や,人事考課や保有資格などをもとに退職金を算定する方式を採る会社も増えてきています。20代の方は気にしなくて良いですが,35歳近い方はこうした制度を頭の片隅に留めておくと良いでしょう。
まとめ
今回は年収の中でも「基本給」に注目し解説しました。お金は非常に大切なのですが,深く理解しないと意外と損をしていることも多くなりがちです。まず,第一ステップとして目の前の手当てや福利厚生だけでなく,基本給にも着目してみてください。