登録型派遣・紹介予定派遣・無期雇用派遣,派遣の基本からそれぞれの特徴,違い,メリット,デメリットまで徹底解説

派遣
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派遣には,登録型派遣・紹介予定派遣・無期雇用派遣の大きく3つの働き方があります。

働き方の違いをかんたんに比較

  • 登録型派遣:気軽に登録できる
  • 紹介予定派遣:契約期間後,派遣就業先で正社員になれる
  • 無期雇用派遣:派遣会社と雇用契約を結んで安定して働ける

ただ,これだけでは「自分にはどの働き方が合っているのかわからない…」と思います。

そこで,ここでは派遣についての基本の「き」から,登録型派遣・紹介予定派遣・無期雇用派遣それぞれの働き方のメリットやデメリット,各派遣サービスについて徹底解説します。

目次

派遣社員の割合

派遣社員の割合

総務省「労働力調査詳細集計」

派遣として働く人は全体の2.5%

まず,派遣社員として働く人はどのくらいいるのか見てみましょう。

総務省が発表している「労働力調査」によると,派遣社員として働く人は142万人います。これは雇用者全体(役員除く)の2.5%にあたります。そう考えると派遣社員の割合は少ないと言えるでしょう。

1999年の労働派遣法改正以降「事務派遣」が増加する

1999年,労働者派遣法が改正され,派遣業種が拡大されました。

それまで「派遣」という働き方は専門13業務(のちに26業務)に限定されていたのですが,この改正をきっかけに「事務職」などでも働けるようになりました(2000年以降増加しているのがわかります)。

職種別派遣社員

職種別派遣社員

総務省「労働力調査詳細集計」

男女計では「事務職」がもっとも多い

職種別派遣社員数では,「事務職」が30.5%(43万人)ともっとも多くなっています。続いて,「製造関連」が27%(38万人),「運搬・清掃・包装等」が15.6%(22万人)となります。

女性は「事務職」,男性は「製造関連」

ただ,これは男女計の結果です。女性では「事務職」が44.7%と約半数を占めます。一方,男性では「製造関連」が39.7%でもっとも多くなります。

職種別派遣賃金

職種 賃金
事務職 10,905円
製造関連 9,635円
販売職 9,920円
情報処理 18,245円

事務職の賃金は10,905円

いちばん気になるのが「派遣だとどのくらいお給料をもらえるか?」ですよね。

事務職の賃金(1日8時間あたり)は,10,905円でした。これが1日あたりなので,20〜22日間だと218,100〜239,910円になります(ここから各種税金や社会保険料が引かれます)。

ITエンジニアの賃金は高い

高度な専門技術が要求される情報処理・通信技術者(もう少し具体的な職種でいうと「プログラマ」などが該当します)は18,245円と高額なのが特徴です。これは他の職種の約2倍に相当します。

派遣社員の福利厚生(社会保険・労働保険・健康診断・有給休暇)

派遣社員というと「非正規雇用」のイメージが強く「社会保険や有給休暇がない」と思っている方が多いですが,一定の要件を満たした方は社会保険の加入や有給休暇の付与が義務付けられています。

これは国で決まっていることなので,派遣会社ごとの違いはありません。

余談ですが,中小の派遣会社などでは,「いかに派遣社員に有給を取らせないか」をノルマのようにしているところもあるそうです(実際に働いている方に聞いた悪質な例です)。これは違法ですので,万一そのような派遣会社の場合はすぐにやめるのをオススメします(大手は制度が整備されています)。

社会保険(健康保険・厚生年金)

社会保険(健康保険・厚生年金)は週の労働時間によって加入基準が異なります。

週の所定労働時間が30時間以上の方

以下の2つの条件を満たしている方が対象になります。

  • 週4日以上出勤する
  • 2ヶ月以上の契約期間がある

週の所定労働時間が20時間以上30時間未満の方

以下の3つの条件を満たしている方が対象になります。

  • 賃金の月額が8.8万円以上である
  • 2ヶ月以上の契約期間がある
  • 同一の事業所に継続して1年以上雇用される見込みがある

労働保険(雇用保険・労災保険)

雇用保険は,以下の2つの条件を満たしている方が対象になります。

  • 週の労働時間が20時間以上ある
  • 30日以上の雇用期間がある

労災保険は全員が適用されます(加入手続は必要ありません)。

健康診断:年1回無料

以下の3つの要件を満たす方は,年1回無料で定期健康診断を受診できます。

  • 年度初めに社会保険に加入している方
  • 週の労働時間が30時間以上の方
  • 健康診断受診時に雇用契約がある方

有給休暇:半年後に付与

派遣社員でも有給制度が受けられます。

  • いつ付与される?:就業開始日から半年後
  • 発生日数は?:実働日数による
  • 次回発生は?:継続勤務1年ごと

雇用安定措置

派遣会社は,派遣社員の契約終了後の雇用を継続させるための4つの「雇用安定措置」を講じなければいけないという決まりがあります。

①派遣先への直接雇用の依頼

1つめは派遣先への直接雇用の依頼です。「現在就業している派遣先企業で社員さんになりませんか?」というものです。つまり後述する「紹介予定派遣」と同じになります。

②新たな派遣先の提供

2つめは新たな派遣先の提供です。現在働いている派遣就業先で直接雇用ができない場合も,新たな派遣先を見つけましょうというものです。つまり「登録型派遣」にあたります。

③派遣元事業主による無期雇用

3つめは派遣元事業主(派遣会社)による無期雇用です。派遣会社があなたを無期雇用しましょうというものです。つまり,「無期雇用派遣」にあたります。

④その他

また,他には「キャリア形成支援制度」として,有給(お給料が発生する)かつ無償(つまり無料)で教育訓練を行うなどがあります。これらは大手派遣会社ならほとんど用意されています。

労働派遣法のおさらい

ここでは労働派遣法がどのように制定・改正されたのかをおさらいしてみましょう。

1986年:労働派遣法制定

これまで「労働者派遣」は禁止されていました。理由は,江戸時代まで遡ると,「口入屋」(遊女なども扱う)と呼ばれる人身売買業により,劣悪な労働環境が問題になっていたからです。

1986年,労働派遣法が制定され,13業務(同年3業務が追加され16業務)に限定されて派遣業務が解禁されました。13業務は,ソフトウェア開発や通訳・翻訳・速記,調査,財務処理などの専門分野です。

1996年:26業務に拡大

16業務(13業務+3業務追加)に限定されていた派遣の対象業務が26業務に拡大されました。

1999年:対象業務の原則自由化

労働派遣法でもっともインパクトの大きいのが1999年の改正です。これまで26業務に限定されていた派遣の対象業務が原則自由化されました。これにより「事務職」などが解禁されます。

2004年:製造業の解禁

2004年,派遣の対象業務として「製造業」が解禁されました。これで現在の男女の人気派遣職種がすべて解禁されたことになります。これにより派遣は一気に拡大していくことになります。

2012年:日雇い派遣の原則禁止

2008年のリーマンショックによる世界金融危機の影響で「派遣切り」が社会問題化されました。これにより,日雇い派遣が原則禁止されることになりました(60歳以上,学生,副業などは可能)。

また,「派遣」という弱い立場の方を守るために派遣社員への待遇説明の義務化,派遣料金の情報公開が義務化されました(派遣会社のマージン率などがわかるようになった)。

2015年:有期雇用の上限が3年間に

2015年の改正では,有期雇用の上限が3年間になりました。これ以上働く場合は,派遣就業先の直接雇用,派遣元(派遣会社)での無期雇用などの義務が発生します。

つまり,派遣として働く人にとってはより安定して働けるようになったということです。

派遣の働き方は3つある

登録型派遣 紹介予定派遣 無期雇用派遣
給料 時給制 時給制 月給制
昇給制度 あり あり あり
賞与 なしが多い なしが多い あり
交通費 あり あり あり
契約期間 有期 有期 無期

登録型派遣・紹介予定派遣・無期雇用派遣

ここまで派遣の基本について紹介してきました。

いよいよ派遣の働き方の違いについて見ていきましょう。

働き方の違いをかんたんに比較

  • 登録型派遣:気軽に登録できる
  • 紹介予定派遣:契約期間後,派遣就業先で正社員になれる
  • 無期雇用派遣:派遣会社と雇用契約を結んで安定して働ける

登録型派遣と紹介予定派遣は基本的な内容はほとんど同じです。紹介予定派遣は最大6ヶ月間の契約期間終了後,双方の同意によって派遣就業先で正社員になれます。

無期雇用派遣は登録型派遣と正社員の間のような立ち位置で,派遣会社と雇用契約を結びお給料(月給)をもらいながら派遣就業先で働きます。

派遣サービスを利用するときに知っておきたいこと

もうひとつ,各派遣サービスを利用するときに知っておきたいことも書いておきます。

サービスを利用するときに知っておきたいこと

  • 大手派遣会社は3つの働き方に対応している
  • 登録型派遣と紹介予定派遣はサービス名が同じ
  • 無期雇用派遣はサービス名が異なるところが多い

最大手のリクルートグループを例にします。登録型派遣と紹介予定派遣は「リクルートスタッフィング」という名前です。そして,無期雇用派遣は「キャリアウィンク」という名前になります。

このほか,パーソルテンプスタッフやマイナビなども同じような形で展開しているので,サービスを利用するときは「無期雇用派遣だけサービス名が異なる」と覚えておきましょう。

登録型派遣:自由度が高い

登録型派遣:自由度が高い

登録型派遣は,派遣会社に登録し,派遣就業先で働きます。いわゆる「派遣」といったときは,この「登録型派遣」を指します。また,「一般派遣」という言葉で呼ばれることもあります。

登録型派遣は,派遣ならではの「自由な働き方がしたい」方にオススメの働き方です。

登録型派遣のメリット

  • 自由な働き方ができる
  • 採用選考がない

登録型派遣のデメリット

  • 時給のため給与が不安定
  • 契約が有期なので不安定

 

紹介予定派遣:正社員になれる

紹介予定派遣:正社員になれる

紹介予定派遣は,派遣先企業での直接雇用を前提とした働き方です。一定期間(最大6ヶ月間)派遣社員として働いたあと,派遣先企業とあなたが合意すれば派遣先企業で正社員として雇用されます。

紹介予定派遣は,「ゆくゆくは正社員就職したい」方にオススメの働き方です。

紹介予定派遣のメリット

  • 派遣先企業で正社員として働ける
  • 入社前に実務を体験できるので入社後のミスマッチが起こりにくい

紹介予定派遣のデメリット

  • 正社員になるには派遣先企業との合意が必要
  • 登録型派遣と比べて自由度が下がる

 

↓紹介予定派遣は登録型派遣と同じサービスが利用できます。

無期雇用派遣:未経験から安定して働ける

無期雇用派遣:未経験から安定して働ける

無期雇用派遣は,派遣会社と雇用契約を結び派遣就業先で働く新しい働き方です。「常用派遣」とも呼ばれます。派遣会社に無期雇用派遣社員として入社するので,お給料も月給制,賞与などもあるため,他の派遣の働き方と比べて安定しているのが特徴です。

一方,サービス利用時に「選考」があり,これがネックになってしまう方も多いのが現状です。

無期雇用派遣は,「安定して働きたい」方にオススメの働き方です。

無期雇用派遣のメリット

  • お給料が安定する
  • 無期雇用のため安定している

無期雇用派遣のデメリット

  • 派遣会社に登録するときに選考がある
  • 登録型派遣と比べて自由度が下がる

 

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