新卒の方が無期雇用派遣として働くときに知っておきたいこと

派遣

新卒の方でも,無期雇用派遣として働くことはできます。

しかし,もし,あなたが新卒のカードを持っているなら,わざわざ正社員より不安定な無期雇用派遣を選ぶメリットはほとんどありません(たしかに登録型派遣よりは安定しています)。

就職後短期離職をしてしまった「第二新卒」の方や大学を卒業後に就職しなかった「既卒」の方は,その新卒のカードがないために就職/転職活動に苦労します。

もし,新卒の時点で「大企業で働けるかも!?」という理由で無期雇用派遣を考えている方は,一旦は自分に合った就職先で働く。20代半ばくらいになって,それでも「やっぱり無期雇用派遣として働きたい」と思ったとき,改めて無期雇用派遣として働き方を選ぶと良いでしょう。

無期雇用派遣を考える最適なルート

  1. 新卒時:新卒の武器を活かして就職活動をする
  2. 入社してから数年後:改めて無期雇用派遣を検討する

「自分はどんな仕事が向いているかわからない」という方も,新卒向け就職エージェントを使えば自分に合った働き方が見つかります。

今回は,新卒の方が正社員就職をするときに知っておきたいこと,あなたの就職活動を支えてくれる就職支援サービスについて徹底解説します。

新卒の基本

新卒の基本

新卒とは:高校,高専・短大,大学を卒業した者など

新卒とは,高校,高専・短大,大学を卒業した人のことを言います。また大学院修士課程を修了し修士号を取得した人,取得見込みの人も含みます。

 

  • 第二新卒:就職後,3年以内に短期離職をした人
  • 既卒:大学卒業後,就職をしなかった人

 

新卒として就職活動をするとき,「新卒」という武器があるため,第二新卒や既卒の方と比べて就職活動が有利になりやすいというメリットがあります。

一方,初めての経験で社会経験がないため,「どのように就職活動をすればよいかわからない」「自分にどんな仕事が向いているかわからない」といった悩みを抱える方も多いと思います。これらは後述する就職支援サービスを活用することでサポートしてもらえるので,心配する必要はないでしょう。

大学卒業者の就職率:就職希望者のみが対象になっていることに注意

就職(内定)率の推移(大学)

厚生労働省「大学等卒業者及び高校卒業者の就職状況調査」

厚生労働省と文部科学省による「大学等卒業者及び高校卒業者の就職状況調査」によると,2019年3月卒の就職率は97.6%でした。

就職率は就職に至った割合を表す数値のため,分母になるのは就職希望者数です。

就職(内定)率=就職決定者数÷就職希望者数

つまり,就職を希望していた人のほとんどは就職できたことになります。

ちなみに就職希望率は76.0%でした(24%の人は就職を希望せずに卒業)。

新規学卒者の離職状況:3年以内に離職する人は32.0%

新規学卒者の離職状況

厚生労働省「新規学卒者の離職状況」

厚生労働省の「大学等卒業者及び高校卒業者の就職状況調査」によると,大学卒の3年以内の離職率は32.0%でした(3年目までの離職率のデータがある2016年を参照)。

 

  • 1年目:11.4%
  • 2年目:10.6%
  • 3年目:10.0%

 

離職理由としては,「将来の目指す方向に近づくため」などポジティブなものもあれば,「年収が低い」「スキルが身につかない環境」「入社前に聞いていた条件と違う」などネガティブなものあります。

短期離職をすると,「なぜ短期離職をしたのか?」という質問が付いて回り(前社を悪く言うなどネガティブな内容を答えるのはNG),転職活動も苦戦しがちです。

できることなら新卒時の就職活動の段階でミスマッチのない仕事選びをするようにしましょう。そのために必要なのが就職支援サービスを利用する方法です。

【新卒の就職活動のまとめ】

  • 大学卒業者の就職率は97.6%
  • 新卒者のうち,3年以内に離職する人は32.0%
  • 就職活動をするときはミスマッチのない仕事選びが大切

公的サービスと民間サービス

民間の就職支援サービスを利用する

就職支援サービスには「公的」と「民間」によるものがあります。

公的サービス:ハローワークなど

公的な就職支援サービスには厚生労働省が設置する「ハローワーク」(公共職業安定所)や各都道府県が設置する「ジョブカフェ」(若年者のためのワンストップサービスセンター)があります。

どちらも求人検索や各種セミナーが受けられるものの,キャリアカウンセリング,書類添削,面接対策といった個別のサービス部分がどうしても弱くなってしまうのが難点です。

また,ハローワークは採用する企業側も無料で利用できるため,いわゆるブラック企業の求人が多くなりやすいデメリットもあります(ジョブカフェの求人データベースはハローワークと共通です)。

公的と民間のサービスレベルの比較をたとえると,公立と私立の学校,公共スポーツセンターと民間企業が運営するフィットネスジムの設備などを比較するとわかりやすいと思います。

民間サービス:就職エージェントなど

民間の就職支援サービス(就職エージェントなど)には次の特徴があります。

  • キャリアカウンセリングが丁寧
  • 求人の質が高い
  • 書類添削や面接対策などのサービスが充実している

就職エージェントは,個別のキャリアカウンセリング充実しています。

また,就職エージェントの求人は質が高いのも特徴にあげられます。

さらに,採用面接の日時,給与交渉などのやりとりもエージェントがあなたの代わりに行ってくれます。つまり,就職活動のすべてをサポートしてもらうことが可能なのです。

民間の就職支援サービスを無料で利用できる理由

ここまでサービスが充実していると「なぜ無料で利用できるのか?」と疑問に思う方もいるかもしれません。たしかに無料だと不安になってしまいますよね。

就職エージェントなどの人材紹介会社は,求職者を企業に紹介すると「紹介料」という形で企業から報酬をもらいます。そのため,求職者(あなた)からお金をもらう必要がないのです。

「お金を払ってでも人材がほしい」という企業は人材を大切にする傾向があるため,就職エージェントを使った就職活動では,必然的にブラック企業が排除されやすくなります。

民間→公的の順番に使うのがオススメ

就職支援サービスを利用するときは,

  1. まずは民間の就職支援サービスを利用する
  2. 利用できなかったときは公的の就職支援サービスを利用する

この順番で利用すると,あなたにとってより良い求人に出会えるでしょう。

民間の就職支援サービスの選び方

新卒向け就職支援サービスの5つのタイプ

新卒向け就職支援サービスは5つのタイプがある

民間の就職支援サービスには大きく5つのタイプがあります。

就職サイト

就職活動をしたことがある方なら,一度は「リクナビ」や「マイナビ」などの就職サイトを見たことがあると思います。多くの公開求人が掲載されており,自分の希望する条件を絞って検索し,自分で応募します(「就活ナビ」「ナビサイト」と呼ばれることもあります)。

基本的には自分で求人を見つけて,その企業に合った対策をします。ただ,何からはじめればいいかわからない,自分に合っている仕事がわからない方の場合,苦戦する感じは否めません。

就職サイトの主なサービス:リクナビ,マイナビなど

就職エージェント型

就職エージェント型は,サービスサイトから登録後,キャリアアドバイザー(「リクルーター」などの呼び方もあります)のカウンセリングを受け,自分に合った求人を紹介してもらいます。

その後は,書類添削や面接対策,日程調整などのサポートが受けられます。就職エージェントを運営する人材紹介会社は,企業がどんな人材を欲しがっているか,どんな社風なのかといった情報を豊富に持っているため,ミスマッチすることなく選考が受けられるのがメリットです。

一方,就職サイトと異なり対面やオンラインでカウンセリングを受ける必要があるという手間はかかります。反対に言うとこれだけ乗り越えれば使う価値は十分あると言えるでしょう。

就職エージェント型の主なサービス:キャリアチケット,JobSpringなど

逆求人型(スカウト型)

逆求人型は,プロフィールを登録すると企業からスカウトや選考パスが受けられるのがメリットです。スカウト後は,企業説明会に参加したり面接をして就職活動を進めます。

ただ,「スカウトしてもこの人材が欲しい」ということは,それだけあなたに学歴やスキルが求められるということです。そのため,比較的高い学歴やスキルを求められる点がデメリットになります。

逆求人型の主なサービス:キミスカ,ニクリーチなど

イベント/セミナー型

イベント/セミナー型は,イベントに参加すると,一度に複数の企業とマッチングできたり,「書類選考なし」「一次面接なし」などの特権が受けられます。

実際はイベント/セミナーを専門にしているサービスは多くなく,たとえば新卒向け就職支援サービスでトップの人気を誇る「MeetsCompany」もイベントも開催していますが,イベント後はエージェントによる就活サポートも受けられるようになっています。

イベント/セミナー型の主なサービス:MeetsCompany,サポーターズなど

OB/OG訪問型

OB/OG訪問型は,同じ大学を出た先輩が「企業」でどのように働いているか話を聞くことができます。自分と近い人がどのようにキャリアを進めていくかがわかりやすいのがメリットです。

しかし,最近はOB/OG訪問サービスを悪用した事件が社会問題化されてきました。特に女性の場合,OB/OG訪問サービスを利用の際は十分な注意が必要です。

OB/OG訪問型の主なサービス:ビズリーチ・キャンパス,VISITS OBなど

就職エージェントは対象ごとに異なる

就職/転職エージェントの上手な選び方

一口に就職エージェントと言っても,対象はさまざまです。

ここではわかりやすく人材業界最大手のリクルートのブランドで解説します。

  • 新卒向け:リクナビ就職エージェント
  • 若年層向け:就職Shop
  • 一般転職向け:リクルートエージェント
  • ハイクラス向け:リクルートダイレクトスカウト

就職エージェントというと「一般転職向け」のサービス(リクルートエージェント,dodaなど)を思い浮かべる方が多いと思いますが,これらのサービスはすでにその職種のキャリアを持っていて,「次のステップとして転職したい」という方向けです。

新卒など職歴がない方は利用できません。正確には,登録はできますがカウンセリングを受けても求人を紹介してもらえる可能性は限りなく低くなります。

新卒の方が使うべきは「新卒向け就職エージェント」

新卒など職歴がない方が利用すべきは「新卒向け就職エージェント」です(MeetsCompany,キャリアチケット,JobSpringなど)。

これらのサービスは,新卒の人材紹介に特化しています。

新卒向け就職エージェントで扱う求人は,誰もが知っている知名度が高い大企業から,成長スピードがありひとりあたりの決裁権が大きいベンチャー企業までさまざまです。

ひとつ知っておきたいのは新卒が人生のすべてではないということです。たしかに新卒時の会社選びは重要ですが,この先,たとえつまづいてしまったとしてもそこで人生が終わるわけではありません。

新卒の就職活動を全力で進めつつ,もしレールから外れるときがあってもそのときやり直せばいいのです。肩の力を入れすぎず,就職活動に臨みましょう。

↓新卒向け姉妹サイトにリンクしています。

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稗田直史

稗田直史

USE COMPANY LLC代表。現在はさまざまな企業の採用支援業務に従事しており,年間200名以上の面接を実施しています。現場や経営目線から見た受かる求職者とそうでない方の違いや,入社前後の仕事の取り組み方について発信しています。転職を検討している方,初めての就職で不安の方も参考にしてみてください!

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