保育士・幼稚園教諭の採用試験(公立・私立)では,面接時に実技試験が実施されます。これは,実際の保育に必要な保育技術や技能が身についているかを確認するのが目的です。
ここでは保育士・幼稚園教諭の実技試験の押さえておきたいポイントについて解説します。
目次
実技試験の目的と内容
前述のように,保育士・幼稚園教諭の実技試験では,学校や勉強で学んだ保育技術や技能が身についているかを確認するために行われます。
実技試験には主に次のものがあります。
- 音楽:ピアノ,弾き歌い,声楽など
- 言語:絵本の読み聞かせ,素話など
- 造形:絵画,工作など
- 運動:前転,なわとびなど
- 模擬保育:保育現場のシチュエーション設定したもの
ただし,最近は深刻な保育士不足のため,神奈川県や大阪府のように実技試験を免除する地域もではじめています。
続いて,各実技試験のポイントについて解説します。
音楽実技試験のポイント
課題曲演奏
バイエルやツェルニー(練習曲集),動揺などから課題曲が指定され,試験日に演奏します。
楽譜は事前に用意することが多く,「◯◯社のもの」と指定されることもあります。
試験でのポイント
- ピアノの演奏の正確さ
- ピアノ伴奏の技術
弾き歌い
ピアノを弾きながら歌います。歌がピアノの音量に負けてしまわないように,大きな声で歌う必要があります。
試験でのポイント
- 歌唱法があるか
- ピアノと歌唱のバランスがあるか
自由曲演奏
課題曲とは反対に,自分で選んだ曲をピアノで弾きます。選曲は自分で得意なもののなかから,子どもたちのために弾くものを想定して選びましょう。
試験でのポイント
- 保育現場を想定して選曲されているか
- 演奏のスキルはあるか
コールユーブンゲン
コールユーブンゲンはドイツ語で「合唱練習書」という意味で,歌を練習するための教科書です。試験では最初の音だけが演奏され,そのあとに譜面通りに歌います。
試験でのポイント
- 正しい音感やリズム感があるか
- 譜読みができるか
初見演奏
試験当日に譜面を渡され,5〜10分の譜読みのあとに演奏する試験です。譜面はよく知られた曲か,譜読みの力を確認するためにオリジナルの曲の場合もあります。
試験でのポイント
- 一般的な曲に対する知識
- 譜読みができるか
手遊び歌
手遊び歌をおこなう試験です。目の前に子どもたちがいるかのように,導入の話からします。
試験でのポイント
- 子どもたちを引きつける力
- 歌の抑揚など
言語実技試験のポイント
読み聞かせ
目の前に子どもがいることを想定して,絵本を読みます。子どもの年齢を指定されることが多く,それに合った本を受験者が持参することもあります。
試験でのポイント
- 子どもの年齢に合った読み方ができるか
- 絵本の絵に合わせて読むことができるか
素話
素話は「すばなし」と読みます。絵本や紙芝居を使わずに,言葉だけで「おはなし」を聞かせる試験です。そのため,表現力が求められます。
試験でのポイント
- 表現力豊かに話せているか
- 子どもにわかりやすく話せているか
造形実技試験のポイント
提示された「条件」を元にして絵などを描きます。最初にしっかりと構成を考え,そこから遠近法などでパースを描いていきます。
試験でのポイント
- 条件に合った造形ができるか
- 技術力があるか
運動実技試験のポイント
子どもの体力低下を防ぐため,2012年に「幼児期運動指針」が文部科学省より示されました。
以降,幼稚園を中心に「運動遊び」が取り入れられるようになり,採用試験でも運動実技試験が取り入れられるようになりました。
試験でのポイント
- 基本的な運動ができるか
- 子どもと一緒に運動できる能力を持っているか
模擬保育のポイント
模擬保育は,主に幼稚園の採用試験で実施されます。実際の保育現場でのシチュエーションが示され,それにもとづいた模擬保育を行います。
試験でのポイント
- 保育の技術があるか
- 子どもが自ら行動したくなる保育ができているか
実技試験よりも大切なこと
実技試験では「ピアノの演奏が失敗しないように」「きちんと読み聞かせができるように」など,実技のテクニック面に注目しがちです。
しかし,試験管はそれ以外の面,たとえば,「難しい課題に対して嫌そうな顔をしていないか」「積極的に課題に取り組んでいるか」などもチェックをしています。
これらは特に民間施設(私立保育園など)でチェックされる傾向があるので,「テクニック以外の面」にも気を抜かないようにしましょう。
2018.06.06
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